「……なるほど、ね」
八雲先生はどこかぎこちない口ぶりだった。
「雨野、ごめんね。時間がないから本題に入るけど」
八雲先生は私に視線を移す。
「体育倉庫の件は心配しないでいいよ。あのあと、消しておいたから」
「消したって……八雲先生が、ですか?」
私は飛びつくように地面から顔を上げる。
「完全にってわけじゃないけど、大丈夫だ。それから、今日から校舎側の倉庫へ後片付けするように実行委員にも指示は出してあるよ」
頭に過ぎるあの文字に、苦しさが広がる。
けど、八雲先生がそこまでしてくれていたなんて……。
「ありがとうございます……」
頭を下げると「教師として、当然だよ」と、微笑んでくれた。
八雲先生の計らいによりあの体育倉庫は、しばらく使われることはないだろう。
そんなやり取りをしているうちに体育祭練習は終わりを告げた。



