ゆっくりと歩み寄ったお母さんは、お父さんの前に膝をついた。
「どちらを先に助けるか。命を救うことに、順番はありません……」
……お母さんは、涙で濡れた瞳で語りかける。
きっと、お父さんだってあの豪雨に打たれ、ひとを助けることに必死だっただろう。
「そしてあなたは、人の命を救った。そのことをどうか誇りに思ってください」
お母さんは真っ直ぐにお父さんを見つめ、迷いなくそう言った。
その日から、私とお母さんはいつまでもお父さんの心を支えると強く決めた。
寄り添えるのは、私とお母さんだけなんだ。
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