今にも崩れ落ちそうな身体を、なんとか踏ん張ってそこに立ち尽くしたお父さんの瞳から、涙が流れ落ちた。
なんの騒ぎだと集まりだしたマンションの住人や近所の人達が、好奇の目でお父さんを見ている。
お父さんが心配でたまらなくなった私は、気づいたらその場からお父さんの元へと走り出していた。
ギュッとお父さんの足にしがみついた。
大人の人達の視線など気にもせず、もう家の中に入ろうと、グイグイ引っ張った。
ようやく、踵を返したお父さんの背中に、
「事故現場にいたのに、警察が人を助けられなかったなんて。まさかそんなこと言えないですもんね」
そして、ひとりの記者は続けて言った。
「───あなたは、助かる確率が高い方を選んだんでしょう?」
その言葉は、お父さんの心に深く傷をつけた。



