「雨野巡査が病院まで運んでいった30代後半の女性は、事故の際に転倒した。しかし……軽傷だったと情報を得ています」
「はい。大事には至りませんでした。しかし、申し訳ありませんが、わたくしの口からはこれ以上、被害に遭われた方のことを公の場でお答えすることは出来ません。プライバシーが───」
「なぜ、女子高生の救助を優先しなかったのですか?」
お父さんの声を遮るように飛び込んできた質問。
「それは……すみません。わたくしから申し上げることは、これ以上ありません」
「亡くなった彼女は車に轢かれ頭部外傷がひどく重体だった。命の危険が迫っていたのは、彼女の方ではなかったのですか!?」
荒々しい口調でまくし立てる記者に、お父さんは目を伏せ、口を閉ざしていた。
どうして、お父さんが……。
まるでお父さんが責め立てられているように見える。



