その日から、私達家族の日常は足元から崩れていった。
「ほら。豪雨の日、あそこの事故現場にいたそうよ……」
学校から帰るとマンションの前にはひとだかりが出来ており、知らない大人のひとが何人も立っていた。
なにか、あったのかな……?
同じマンションのおばさん達がヒソヒソと声をたてて、嫌なものでも見るかのように視線を向けていた。
私が慌てて視線を走らせると、そこには、そのひと達に囲まれたお父さんの姿があった。
お父さん……?
「なぜ、あなたはパトカーで出動しなかったのですか?」
「あの豪雨の中、パトカーを走らせることは危険だと思い、出来ませんでした」
どこかの記者のひと達なのか、レコーダーやスマートフォンをお父さんに向けている。
肩を縮めたお父さんは神妙な面持ちで答えていた。



