【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?



夕方だというのに外はもう真っ暗。


町のあちこちでは冠水している区域もあり、通行止めも起きていた。


本当に大丈夫なんだろうか。


夕飯のお手伝いをしていると救急車やサイレンの音が鳴り響いていて、怖くなる。



そしてその夜、お父さんは家に帰ってこなかった。



……次の日の朝、雨はやんでいた。



「お母さん見て!学校の近くの道路が映ってる!」



私はお母さんと一緒に地域放送番組を見ており、家の近くで事故が起きたことを知る。



────“昨日午後5時頃、一台の車が電柱に衝突する事故が発生しました。運転手は即死の状態で、巻き込まれた女性のうちひとりは軽傷”



テレビには事故現場が映し出されていた。


ぐしゃぐしゃになった車を見て、私はビクリと肩を揺らした。



────“もうひとりの女性は、病院に搬送される前に亡くなったとのことです。死亡が確認されたのは、近隣の高校に通う───”



昨日の豪雨の中、起きた惨劇。


私と同じ町に住む高校生が亡くなってしまった。


悲しい事故の放送に、胸がギュッと痛んだ。