「……今の人、だぁれ?すごく、怖いお顔してたよ。泥棒、さん?」
男の人が笑顔で手を振って去っていったのを確認すると、私はボソッとお父さんに尋ねた。
すると、お父さんは私の目線に合わせるようにしてしゃがんだ。
じっと私の目を見る。
「見た目で判断して、疑ったりしちゃいけないよ、空」
「っ、」
「怖い人に見えても、その人が本当に怖い人や悪い人とは限らないだろう?」
「……ご、ごめんなさい」
肩をすくめて謝る私に、お父さんは「うん」と頷いた。
「今の人はね、ひったくりにあって怪我をしたおばあさんを助けてくれたんだよ?」
「え?」
私は、勝手に決めつけて悪い人だと言ってしまったことをすぐに後悔した。
「それにね、空。悪い人はね、目を見ればわかるんだ」
目を見れば……。
いつだって、強さと優しさを教えてくれる、私の自慢のお父さんだ。



