【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?



「それが俺の務めだって言ってるでしょ?」


「でも。私……なにも出来なかった」



守りたい人がいるのに。


お父さんが傷つけられているのに、なにひとつ出来なくて。



「雨野はバカだね。全然わかってない」


「え?」



私は、弾けるように葵くんを見る。


サラっと流れたキャラメル色の前髪。


真っ直ぐな瞳は、真剣に私を見つめ返していた。



「雨野はずっと、栄一さんの心に寄り添ってきただろ?」


「……っ」


「栄一さんのこと尊敬してるって言ってたよな」



私が入学当初にそう言ったことを、葵くんはしっかり覚えてくれていた……。