【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?



* * *


放課後になり荷物を持って教室を出た。

体育祭練習が行われるため校庭に集合だ。



やっぱり、さっきの視線のこと、葵くんに帰ったら話した方がいいよね?



下駄箱でスニーカーに履き替えながらふと考えていると、



「───雨野空って、あんたのことだろ?」


え……?

不意に名前を呼ばれて視線を走らせる。



「そ、そうだけど……」



向かいの下駄箱の前に立っているひとりの男子。


パーマをかけたみたいな癖のある黒い髪。


鋭い目付きをした彼の手には学年のカラーであるブルーのハチマキが握られている。


だから私と同じ学年だってことはすぐにわかった。



「いきなり悪い。俺、八雲先生のクラスで、風谷 雷(かぜたに らい)」



ぶっきらぼうに自己紹介をすると、彼は辺りを見回した。