ぺこりと頭を下げてから八雲先生を見上げる。
「……どういたしまして。入院中に申し訳なかったね」
眉尻を下げて困ったような曖昧な表情で私を見つめる八雲先生。
「いえ……助かりました!あの……私、そろそろ教室に───」
葵くんも遅いと心配しているかもしれない。
そう思って立ち去ろうとした瞬間、
「───雨野」
八雲先生が私の二の腕を掴んで自分の胸へと引き寄せる。
「……!?」
「なにかあったらいつでも俺に言っていい。雨野の力になりたいんだ」
周りの生徒に聞こえないように、声を潜め、耳元で囁いた。
あまりにも突然のことでなにが起きているのかわからなくて、私はピシャリと固まってしまう。
「ひとりで抱え込まないで?」
だけど、生徒のプライバシーを守ろうとしてくれている八雲先生の配慮に、私はコクコクと頷くのが精一杯だったのだ。



