「風邪で欠席って聞いて心配してたんだ」



見られてない……みたい。


うん、大丈夫……そうだ。



「あ、ありがとうございます……」



金曜日の出来事も頭にチラついたけど、出来るだけいつも通りに振舞ってみせる。



「金曜日は、ごめんな?」


「……えと、」



突然の八雲先生からの謝罪の言葉に私は目を丸くする。



「こんなこと生徒に言うのは情けないんだけど。俺、雨が苦手で……どうしても色んなこと思い出して、あの時も感情的になってたかもしれない」



ごめん……と、再び吐き出された八雲先生の絞り出す声。


思い返してみるとあの時の八雲先生はちょっぴり怖い空気を放っていたかもしれない……。


だけど、真剣さを伝えてきた八雲先生に私はふるふると首を横に振った。