「着替え出来る?」


「え?」


「それ、汗かいたでしょ?」



……そうだ。


さっき見た夢のせいで変な汗をかいちゃったんだ。



「早く脱ぎなよ。また風邪ひきたいの?」


「今、着替えるよ……っ」


「手伝おうか?」



なに言い出すのよ……。


そんな……からかう口ぶりはもうすっかりいつもの葵くんらしい。



「……だから、自分で出来るってば!」



子供扱いされたことに恥ずかしくなってついつい可愛げのない言い方をしてしまった。


はっとして、すぐにチラリと葵くんに目線を向ける。



「俺、甘やかしすぎ?」



ちょっぴり意地悪な笑みを浮かべる葵くんに、私の心臓は正直に反応して……。


葵くんは、私の中でどんどん大きい存在になっていることに気づいた。