【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?



「……っ!」



息をするのもやっとなくらい苦しい記憶。


過去の光景を夢に見たせいか、汗をかいた身体は冷たくなっていた。


ひっつきそうなほど乾いた喉にチクッと痛みが走る。



そっか……。

私、葵くんに止められて、あのまま学校を休んだんだ……。


もうすっかり陽が落ちて夕方になりかけていた。


枕元にはミネラルウォーターと畳まれたタオルが置いてある。



これ、葵くんが……?


ふすまの向こうのリビングは電気がついていて、微かに話し声が聞こえてくる。



「……あ、葵くん?」



恐る恐るリビングに顔を覗かせる。


ベランダに目をやると葵くんは誰かと電話をしている様子だった。


……誰と話してるんだろう?


葵くんの口から聞いたことないけれど、家族の人とか……?