きっと、お父さんがもっと苦しくなる。
誰よりも苦しんできたのは、ずっと苦しんでいるのはお父さんなのに。
「……もうわかったから。俺が、いるから」
浅い呼吸を繰り返す私をなだめるように、今度は柔らかい微笑みを浮かべた葵くんは耳元で囁いた。
なにひとつ聞かずに、安心させてくれる。
「だから、頼むから大人しくしてくんない?俺はお前が心配でたまんないんだよ」
その包まれるような温かさに、じわじわと込み上げてきた涙をぐっと押し込んだ。
「なにか食えそうなもんある?」
覗き込むようにして葵くんが聞いてくる。
「………ゼリー、食べたい」
朦朧とした意識の中、私がそう答えると葵くんが笑った気配がした。
……そして、葵くんの温もりを残したまま、ついに私は意識を手放した。



