「ごめん。すぐに気づいてやれなくて」
「っ、」
「また、そんな顔させた……」
思いがけない言葉に鼻の奥がツンと痛んで、視界はたちまち滲み出した。
葵くんが謝ることなんて、ないのに。
そう言いたいのに声にならない私は、せめて顔だけでも見たくて葵くんを見つめる。
「俺の隣にいるときは、もうそんな顔させないから」
冷えきった心が温かくなる。
後悔を浮かべた葵くんの瞳は私をしっかり映していて。
傷ついたような顔をした葵くんは私を真っ直ぐに見つめている。
「わかってるよ。雨野のお父さんが、そんな誰も喜ばない言葉を浴びせられる人じゃないことくらい」
なにも言わずとも、葵くんはそう言ってくれる。
「……俺には、わかるから」
……と。



