「もちろんそれは俺も同じでね?教師として、責任を持って送って───」


「俺が送っていきます。こいつは、雨が苦手なんで」



八雲先生が言い終わらないうちに葵くんが声を被せる。



「行くぞ」


「わわっ……!?」


大きな葵くんの手が私の右手をさらっていく。


廊下の角を曲がる寸前……



「またね。雨野」


八雲先生の声が背中に届いたけれど、振り返らなかった。