【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?



「……嫌ですね。雨」



これからは体育祭の練習だって始まるのに。



「ん?雨野は、雨が嫌い?」


「えっと……はい。雨みたいな名前ですけど、雨は好きじゃないんです」


「雨野空。一度聞いたら、忘れない名前だよな」


「そ、そうですか……?」



八雲先生の背中に問いかける。


覚えやすいというか印象的ではあるかもしれない。



「でも、俺も───」


……と。

八雲先生がゆっくりとこちらへ振り返る。



「雨なんて大嫌いだけどね?」



なんの感情も読み取れない声で八雲先生が言った。


キンッと、空気が冷たくなる。


窓の向こう側では雨雲に雷が流れた。