「ってかさ、元々あんたに出てもらう気ないから。あんたブスのくせにチヤホヤされてんじゃないよ」









「まじきしょい」









先輩たちはハルカに悪口の雨をあびせ、そのあとドアを思いっきり強く閉めて出ていった。








その衝撃でドアが歪み、ハルカの力だけでは開かなくなってしまった。









ポケットを触るが携帯は入っておらず、連絡も取れない状態となってしまった。










「どうしよう……。ていうか、ここ男子更衣室じゃん!」








先輩たちの罠にかかったハルカは、パニック状態となってしまった。








ドアを叩いて声を出すが大音量で音楽が流れている会場の人には聞こえるはずがない。













「あっ、そうだ」










目の前にあったカツラと衣装が目に入る。










「瑠樺になればいい」









少し安っぽいカツラを近くに置かれていたヘアアイロンで綺麗に伸ばし、茶髪のかつらを被る。








制服のズボンを借りて、ネクタイに付けかえる。







急いで顔を洗い、運がいいことにメイク道具まで放置されていた。









いつもよりわざと濃いメイクをして、約30分程で完成した。








すると、外から男子生徒たちの声が聞こえ始めた。









「かってー」








「誰だよ閉めたやつ」







「おい、開けるぞ」








「「せーの」」









勢いよくドアが開けられ男子生徒たちが顔をあげる。












「え?」







「も、もしかして瑠樺くん?」