「誰とも付き合わないって言って告白断りまくってたのに、梅咲君の嘘つき!」

「だから、彼女は僕の理想の人なんだ。ずっと探してたんだよ」

「探してたとか意味わかんない! 小松さんのどこが他の子と違うっていうの?」

 ほらね。こうなるよね。

 こんな地味子をみんなの王子様が好きだなんて、納得いくわけがないのだ。

 騒ぎ立てる女子の剣幕に、私は何も言えなかった。

 いや、言えたとしても、言えることがない。

 角が見えるところですなんて言ったとして、フザけて答えているようにしか思われないだろう。

 怒りの炎に油を注ぐようなものだ。