恋歌はクリスマスを彼と過ごしたい

 こうなるともうはっきり伝えるべきかもしれない。

 恋歌はそう思い、一つ咳払いをしてから告げた。

「私、村田さんと一緒にお休み取って遊びたいんです」
「あーなるほどね」

 なるほどね……って。

 そっけないに天然の付加要素が表面化して恋歌はしばし言葉を失う。

 そんな恋歌のことなどおかまいなしに村田が続けた。

「悪いんだけど君と遊んでいられる余裕はないんだよ」
「えーっ」
「年末だからね。取次も休みになるしその前に済ませないといけないことが沢山あるんだ」
「それ年明けじゃダメなんですか」
「ダメ」
「じゃあ、他の人に任せるとか。成田(なりた)くんとか桜(さくら)さんとか」
「いや、担当エリアが違うし。それに二人を働かせて俺だけ遊ぶ訳にもいかないでしょ」
「えー、なら私はどうしたらいいんですか」
「どうしたら……って、それ俺に聞くの?」

 村田が頭をかいた。

「一人で休めばいいんじゃない?」
「……」

 ひ、酷い。

 こんなに可愛い私にどうしてそんなセリフ吐けるの?

 ピコリンと電子音がし、村田のノートパソコンのモニターにアニメの女性キャラクター(魔女っ娘)が現れてメールの着信を知らせた。村田が慣れた動作でメールを読み始める。

 どうやらアニメ愛好家仲間からのお誘いメールだったようだ。日付がクリスマスと無関係なので恋歌は少しだけほっとした。

 しかし、そこでふと思いつき質問してみる。

「もしアニメのイベントに参加できたら仕事します?」
「そのときは休むよ」
「……」

 あ、私ってアニメキャラ以下なんだ。