「あ、待ってるよ」
着替えを済ませ更衣室を出ると、あたしの前を歩いていた上山先輩がニヤッと笑って言った。
その姿勢の先には、望くん。
望くんはあたし達に気付くと、壁に預けていた背中を離し、上山先輩に向かってペコッとお辞儀した。
「じゃあ姫乃さん、また明日詳しく話聞かせてね」
ポンっとあたしの肩に手を乗せ、ニヒヒと笑った上山先輩は、「バイバイ」と手を振る。
「さ、さようなら!」
あたしが挨拶し返すと、そのまま小走りで去っていった。
「お待たせっ……! あの、今日は練習もういいの?」
望くんの元に駆け寄っていって、待ってくれていた彼に問いかけてみる。
部活のある日は大抵、終わった後に自主練して帰るって言っていたから。
「ああ、今日はいい。菜子に西川先輩と一緒に帰られたりしたら、練習どころじゃないし」
「えっ……」
「ほら、遅くなるから帰ろう」
そう言って、くるっと踵を返す望くん。
先に歩き始めた彼を、あたしは追いかけるように歩く。



