──結局、それからも授業に集中することなんて、とてもじゃないけど出来なかった。
シャーペンを手にして、先生の話を聞くふりをしながら、頭の中は結城くんのことばかり。
さっきまでは全く、これっぽっちも結城くんのことなんて考えていなかったのに、告白ってすごい。
こんなに意識しちゃうんだ……じゃ、なくて。
やっぱりどう考えても、納得がいかない。
まともに喋ったこともないのに、あたしのことを好きなんて信じられない。
教室であんな風に告白してくるのだって、おかしいし。
これは、多分……。
「結城くん」
いつもより早く感じた5限目の授業が終わってすぐ。
あたしは授業道具を机の上に広げたまま、隣の結城くんに声をかけた。
急がないと時間がない。
きっとすぐまた野次馬化したクラスメート達が集まって、取り囲まれる。
その前に──。
「ちょっとこっち来て」
あたしは結城くんの腕を掴んで引っ張って、教室の外へと出た。



