「あっ、望く……」
「ひめちゃん」
あたしの紹介も含めたミーティングが終わった後、すぐさま望くんに話しかけようとしたけれど、隼人先輩に呼び止められた。
「今から上山さんが色々教えてくれるから、ついて行ってくれる?」
「あ、はい!」
隼人先輩の隣には、黒髪ボブの女子生徒。
少し大人びて見える二年生の彼女が、しばらく部活を休むというマネージャーさん。
聞くところによれば、お母さんが手術と入院をすることになり、それでしばらく部活を休むらしい。
上山先輩が先にニコッと微笑んでくれて、あたしはペコっと会釈した。
「まずはドリンク作りからね。麦茶のお茶っ葉とかは部室にあるから、行こっか」
その場で軽く挨拶を済ませたあと、上山先輩に柔らかく微笑んで言われて、「はい」と返事する。
少しだけでも望くんと話をしたかったんだけど、しょうがないか。
ちらりと男子部員が集まる方を見てみれば、部長である隼人先輩を囲んで話をしており、多分もう話かける隙はないだろうと思ったあたしは、部活が終わってからにしようと諦めた。