良かった、助かった……と、思ったのもつかの間。
チッと舌打ちさえして、仕方ないとばかりに引いていくクラスメート達に、茜も少し戸惑った表情を浮かべつつ、「また後で」と、自分の席へと向かっていった。
だけどあたしの隣には……今、告白してきたばかりの結城くん。
「返事は後でいいから」
恥ずかしいからなのか性格なのか、やっぱり素っ気なくそう言うと、今から始まる授業の準備を始めた。
返事……ってことは、やっぱり本当に告白されたってことだよね!?
改めて自覚してみれば、急に身体の奥からカアっと熱くなる。
だって、はじめて。
初めて男の子に告白された。
あたしのことが好きなんて、その事実は率直に飛び上がるほど嬉しい。
でも……どうしてあたしなんだろう。
高揚して震える手で、机の中から勉強道具を出しながら、ちらりと隣を見る。
結城くんとは中学から一緒だったわけじゃなく、この4月に高校へ入学して知り合った。



