『好き』より先に、キミの『彼女』になりました。



今、俺と付き合う……とか、言った……?


確証が持てなくて、目をパチパチさせていると、


「俺、姫乃のこと好きだから」


ほんのり頰を赤く染めながら、目を逸らして素っ気なく結城くんが言った。


あたしのことが……好き?


「えっ……」

「うわっ、何!? 結城、姫乃に告ってんの!?」


びっくりしたあたしが口を開いたのと同時。

ちょうどすぐ側を通りがかったクラスメートの男子が、話の内容に気付いて声を上げた。


「えっ、告白!?」

「誰が誰がっ!?」


あっという間に、あたし達の周りをクラスメート達が取り囲む。


「なに、坂井さんに告ったの?」

「違うって!姫乃さんだよ!」


一瞬にしてワイワイと盛り上がる教室。


「で、姫乃さん、どうするの!?」


何故だかクラスメートの女子のひとりが、興奮気味に机に手をついて聞いてきた。


「えっと、あのっ……」


どうする……って、言われても。

自分でも今の状況を理解しきれていないのに、こんなの困る。

たらたらと背中に冷や汗を流していると、あたしを助けてくれるみたいにチャイムが鳴った。