「あの、お金……」
「だからいいって」
食事を済ませ店を出たあたしは、一歩先を進む結城くんを捕まえて声をかけた。
お会計はちゃんと割り勘にするつもりだったのに、結城くんが伝票を持って先に立ち上がり、あたしのぶんまで支払いをしてしまったのだ。
「でも……」と、言葉を濁らせるあたしに、
「いいから。ちょっとくらい彼氏っぽいことさせて」
結城くんはそう返事して微笑んだ。
「じゃあ、ご馳走さまでした……」
どうしようと悩みつつ、きっと何を言っても結城くんはお金を受け取ってはくれなくて、素直に頭をペコリと下げることにした。
でも、やっぱ奢ってもらうのは悪い気がする……。
何となくスッキリしなくて俯いたままでいると、
「ここさ、パンケーキも美味いらしくて。次はパンケーキ食いに来よう」
降ってきた結城くんの声に、あたしはパッと顔を上げる。
次……? あ、そっか!
「次っ!次は、あたしが奢るね!」
「え……」
あたしが、身を乗り出すくらいの勢いでそう告げると、少し驚いた様子で、目をパチパチさせる結城くん。
あれ?何かおかしなこと言ったかな?
「あの、えっと、ちょっとくらい彼女らしいことさせてよ!」
顔を赤くしながら改めて言うと、結城くんはキョトンとした後、フッと笑った。



