付き合いはじめた翌日、好きになってくれた理由を聞いたあの日を最後に、一度もふたりになったことがない。
「サッカー部ってそんなに忙しいのかなぁ?」
「それは私より菜子の方がわかるでしょ」
「うう……」
中学の頃マネージャーをしていたから、大変なのは正直それなりにわかっている。
しかもまだ入部したばかりの1年生だから、やることも沢山あって、休んでなんかいられないことも。
「だったらまたマネージャーやったら?」
机に置いたお弁当箱を持ち上げながら言った茜ちゃんの言葉に、「えー……」と素直な声を漏らした。
サッカーは嫌いじゃない。
マネージャーの仕事も嫌じゃない。
だけど、
「高校は帰宅部で思いっきり遊ぼうって決めてたのにー」
「なにそれ」
クスッと笑う茜ちゃん。
「だってさ、マネージャーってすごく大変なんだよ!? 土日もずっと練習だし! 中学の時、友達と遊んだりとかあんまり出来なくて……」
高校は部活になんて入らない。友達や彼氏といっぱい遊んで、女子高生を謳歌するんだ!
そう受験の前から決めていた。