「あの時、別に姫乃が悪いわけでもないのに泣きそうな顔してて」
「や、だって……!」
結城くんが話す度、まるで抜け落ちていた記憶が戻るように思い出す、当時のこと。
「あたし達3年生だったし、このまま試合に出られなかったらって心配になって……」
日差しが強くて、日陰に入って手当てをしたのを覚えている。
中学3年生の初夏。
長くても秋には引退なのは、きっとどの学校も同じだったはずで。
結城くんは「大丈夫」って笑っていた気がするけれど、時間が経つにつれ赤く腫れてきた足首を見ながら、このまま最後まで試合に出られなかったらどうしよう……って、心配になった。
だって、今まで頑張ってきたのは、あたしが見てきたサッカー部のみんなと同じはずだから。
でも、泣きそうな顔……なんて。
過去の自分に恥ずかしくなって俯くと、
「姫乃のこと、あの時にかわいいなって思った」
「へっ!?」
隣から聞こえてきた言葉に、あたしはバッと顔を上げる。



