「優しいな、先輩」
「うん、すっごく優しいよ」
だから、迷うことなくマネージャーを続けることを決めたんだ。
「じゃあ、今日はお言葉に甘えて帰ろっか。菜子、どっか行きたいところある?」
自然に手を繋いで、あたし達は歩き出す。
「うーん……わっ」
空いた片手でポケットからスマホを取り出し見てみると、お父さんからメッセージが届いていた。
【6時には帰れそうです】
その文のすぐ下には、お座りした犬からハートが飛んでいる可愛らしいスタンプ。
「あんまり時間ない感じ?」
「あ、うん……ごめん」
望くんにあたしは苦笑いを返す。
彼氏が出来たと素直に話してしまったのが、運の尽き。
それから門限だの何だのと、お父さんが少し口うるさくなってしまい、今日も帰りが少し遅くなってもいいか聞くより先に、「父さん早く帰ってくるから、夕飯はみんなで外に食べに行こう!」と、意気揚々と宣言されてしまった。
……に、しても、まさかこうしてメッセージまで送ってくるとは。
思わずあたしがため息をつくと、望くんは少し困ったように笑った。



