望くんに嫌われてしまったと思った時は、こんな日がまた来るなんて思わなかった。
──望くんと手を繋いで、彼女として隣を歩ける日がまた来るなんて。
自分の今の気持ちを込めて、ぎゅっと手のひらを握り返す。すると、あたしに目を向けた望くんは、
「え……菜子?」
驚いた顔をして、また足を止めた。
理由は自分が一番分かっている。
今にも泣きそうな……ううん、既に涙ぐんでいたから。
「ごめん、ちょっと幸せだなぁって思って」
目尻を片手で拭いながら、あははと誤魔化すみたいに笑ってみせると、
「菜子は……ずるい」
望くんは手を繋いだまま、あたしの目の前に立った。
そして、両手で挟むようにあたしの頰に触れる。
「顔、熱いけど大丈夫?」
「それはっ、望くんのせいだよ」
「じゃあ、もっと熱くなることしてもいい?」
「えっ」
望くんのその言葉だけで、身体中の血が沸騰してしまうんじゃないかってくらい、熱くなる。
保健室の時と同じ、甘い雰囲気。
そして、ゆっくりと近付く望くんの顔。
「風邪、うつっちゃうよ?」
「いいよ。菜子の風邪なら大歓迎」
「っ……」
これで、2回目。
恋人としては、はじめて。
あたしは大好きな人と、甘い甘いキスをした──……。



