「隼人先輩のことは、好きなんじゃなくて、憧れだったの。本当に好きなのは、望くんだった」
大きな背中に手を回し、あたしはきゅっと力を込める。
「遅くなって、ごめんなさい」
謝ると望くんは、ふるふると首を横に振り、ゆっくりと身体を離した。
「俺、ずっと自分に自信がなかった。見た目もそうだし、サッカーだって上手くないし、性格も西川先輩の方が大人で、勝てっこないって思ってた。……だから今、夢見てるみたいだ」
少し切なげに笑う望くんに、今度はあたしが首を横に振る。
どんなにカッコよくて、スポーツ万能で、性格の良い人が現れたとしても、違う。
それは望くんじゃないから……違う。
「夢なんかじゃないよ」
あたしを一途に想ってくれるところも、少しでもサッカーが上手くなるように頑張ってるところも、いつだって自分の気持ちに正直で、たまに自信をなくしてしまうところさえも……ぜんぶ。
「あたしは望くんが好きだよ」
早く言いたくて、でも言えなかった自分の気持ちを、あたしはもう一度告げる。
すると、望くんは少し顔を赤くして、嬉しそうに笑って、返事をしてくれた。
「俺も菜子のことが、ずっと好き」



