「茉里ちゃん、ひとりで帰しちゃって大丈夫?」
「あぁ……うちわりと近いから。それに茉里、小さい頃から空手やってるし、下手したら俺より強い」
「へぇっ……」
見た目は小柄な可愛らしい女の子なのにすごい。でも、男の子をバッタバッタ投げ飛ばしてる姿は想像できる気がした。
「それより……菜子の話って何?」
茉里ちゃんがいなくなって、急に静かになった道で望くんが問いかける。
「あっ、うん……あのね……」
ドクンッと一度大きく鼓動が跳ねて、続けてバクバクと鳴り続ける。
暑い、とても熱い。
夏だし、走ってきたから当然だけど、今になって急に汗が噴き出す。
全然違う。
隼人先輩に告白した時とは全然。
「あのっ……」
「俺も菜子に言いたいことがあるんだ」
なかなか言葉に出来ず、あたしが言い淀んでいると、望くんがそう言って……微笑んだ。
望くんのその柔らかな表情が、話の内容を物語っている。
きっとそれは……あたしの一番聞きたい言葉。
でも──。
「だ、だめっ!」
あたしは大きな声で、望くんにストップをかけた。



