「わ、ちょ、分かったから引っ張んなって!」
少し困った顔をしながら、望くんは一瞬あたしを見たけれど、すぐにパッと目を逸らされた。
「すみません、失礼します」
上山先輩にだろう、望くんがペコっと小さく頭を下げると、その茉里と呼ばれた女の子も頭を下げて、ふたりはそのまま校門を出て行ってしまった。
「今の女の子、誰?」
「分かり……ません……」
上山先輩の質問に、ぽつりと力なく返す。
あの子が誰なのか、あたしの方が教えてほしい。
のぞにいって呼んでいたから妹……じゃないよね。だって、おばちゃんがどうのって言っていたし。
じゃあ、誰……?
親しげに望くんに話していた姿、手を取って引っ張る無邪気な表情に、胸の奥がぎゅーっと苦しくなる。
そして何より……。
『茉里』
はじめて聞いた。
あたし以外の女の子の名前を、呼び捨てで呼ぶ望くんの声。
もしかしたらあの子は……。
ポトっと心の中に水滴のように落ちて、波紋となり広がっていく疑念と不安。
でも、だったらどうしてあんなこと言ったの?
どうしてあたしにキスなんかしたの……?
考えたって分からない。
分かりっこないけど考えずにはいられなくて、苦しくて、きゅっと下唇を噛み俯く……と、



