『好き』より先に、キミの『彼女』になりました。


「えー、本当に? じゃあ姫乃さん一人で帰るの? 大丈夫?」

「熱もないし、大丈夫です」


あくまで普通に笑ってみせるけど、内心は期待してしまっていただけに、ちょっとショック。


そっか……望くんはもう先に帰っちゃったんだ。

あれからずっと、あたしは望くんのことを考えていたのに、望くんは違ったのかな……。


一番考えてしまうのはケガのことだろうし、こんなことを思ってしまうのは間違えているって分かってる。

だけど、舞い上がってしまっていたぶん、落ち込んでしまう気持ちも大きい。


モヤモヤする気持ちを抱えたまま、あたしは上山先輩と並んで歩き出した。


もしかしたらあのキスも、言いかけた言葉も、全部なかったことになるという、最悪の展開になってしまって。

望くんとの距離はこのままなんじゃないか……なんて、卑屈になりかけていた時だった。


「ねえねえ姫乃さん、あれ結城くんじゃない?」

「え……?」


急に上山先輩に袖を引っ張られ、あたしは顔を上げる。

すると、あたし達より少し先に、校門を出ようとする男子二人組みの姿が目に映った。


それは中村くんと……間違いなく、望くん──。