俯いて、悔しそうに顔を歪める望くん。
その声は、静かすぎる室内に響いて……。
「だっ、大丈夫!大丈夫だよっ! 望くんが頑張ってるの、あたし知ってるもん! 隼人先輩や先生だってちゃんと見てくれてる! 認めてくれてるから、今回選ばれたんだよ! だからっ……」
そんな悲しそうな顔、しないでよ──。
最後の言葉は、声にならなかった。
それは……。
「なんで菜子が泣いてんの」
フッと溢れるように笑って、望くんが指摘する。
「だって、望くんがっ……」
グズっと鼻をすすって、涙を片手で拭うと、ポンと温かくて優しい感触を頭に感じた。
「あの時と……菜子と初めて話した時と同じだな」
呟くように言った望くんに顔を上げてみると、望くんはあたしの頭に手のひらを乗せて、優しく微笑んでいた。
「菜子のこと、好きになったとき」
「っ……!!」
改めて告げられた言葉に、もう過去の話だって分かっているのに顔を赤くする。
そして、