『好き』より先に、キミの『彼女』になりました。


「テーピングは姫乃さんの方が上手いかな」


そう告げると、先生は手にしていたテーピングテープをあたしに渡して、


「先生ちょっと職員室行ってくるから、姫乃さんやってあげてくれる? もし誰か来たら、内線で呼んでくれたらいいから」

「え……えっ!?」


あたしが状況を理解するより先に、先生は「じゃあね」とにこやかに保健室を出ていってしまった。


「……」


パタンと引き戸が閉まると同時に、静まり返る室内。

ベッドを仕切るカーテンは全部開いていて、あたし達の他は誰もいない。


……望くんと、ふたりきり。


保健室に先生がいた時点で、頭の中から消え去っていた状況に、どうしたらいいのか分からなくなる。

と、とりあえず……。


「テーピング、する……ね?」


あたしは声を振り絞って、望くんへと歩み寄る。

自分の身体なのに、そうじゃないみたい。
緊張して歩き方さえおかしくなってしまいそう。


「自分でやるからいいよ」

「ううん、先生に頼まれたし……」


望くんの言葉に、首を横に振りながらしゃがみこんで、テーピングテープを引き延ばした。