「ちょっと菜子、大丈夫? 体調悪いの?」
机に突っ伏していると、そう声をかけてきてくれたのは茜ちゃん。
「あ、ううん……鼻は詰まってるけど、大丈夫」
「じゃあ何……って、結城くん?」
茜ちゃんの問いかけに、ゆっくりと身体を起こしたあたしは、こくんと頷く。
熱を出して早退した翌日。
あたしは休むことなく、学校に来ていた。
昔から熱が出ても一晩寝たら下がる体質で、今回も例に漏れず、朝には熱は下がっていた。
ママには念のため休んだ方がいいんじゃないかと言われたけど、「授業遅れるの嫌だから」と、最もらしいことを言って押し切って登校。
でも、授業がどうのっていうのは建前で。
本当は……望くんに会いたかったから。
昨日のことが片時も頭を離れてくれなくて、早く会って話して、確かめたかった。
優しくて微笑んでくれたことが、嘘じゃないこと。
そして、望くんが昨日言いかけた言葉の続き。
だけど……。
「ひと言も話せなかった……」
あたしは再び机にうなだれて、呟くくらいの小さな声で言った。



