額に乗せた腕をゆっくり持ち上げ、その手のひらを見つめる。
さっき、望くんに握られていた手。
仕方なく……なんだよね。あたしに熱があったから、仕方なく。
それなのに、うっかり勘違いしてしまいそうになった。
昨日あんなにハッキリと、拒絶されたばかりなのに……。
思い出したらまた胸が苦しくなって、息がつまる感情に手を下ろす。
だめだ。こんなことばっかり考えてたら、もっと具合悪くなる……。
迎えが来るまでまだ時間もあるし、少し寝てしまおう。
そう思ったあたしは目を閉じた。だけど、
ガラガラガラッと、引き戸が開く音に、閉じたばかりの瞼をパチっと開く。
すぐ戻るとは言っていたけど、先生もう戻ってきたの……?と、思ったのと同時。
「……菜子?」
あたしの名前を呼ぶ声に、ドキッと鼓動が跳ねた。だって……。
「はっ、はいっ!」
思わず身体をガバッと起き上がらせ、自分が病人というのも忘れ、勢いよく返事をした。
すると、カーテンをゆっくり開けてあたしの前に現れたのは……望くんだった。



