「じゃあ俺、教室から荷物持ってきます」
黙って会話を聞いていた望くんが、口を開いた。
「あ……」
「うん、ありがとう。じゃあちょっと待って。連絡用紙渡すから」
あたしより先に、お礼を言ったのは先生。
連絡用紙というのは、授業に遅れた時に保健室に来ていたことを証明するもの。
ここに来ている途中に、もうとっくにチャイムは鳴ってしまっていた。
机に向かい、用紙を記入する先生。
望くんはそんな先生の方へと歩いて行ってしまい、あたしはお礼を言うタイミングを失った。そして、
「はいこれ、お願いね。それはそうと……結城くんは大丈夫?」
連絡表を渡した先生が、少し心配そうな顔をして望くんに訊ねた。
え……望くんも体調が悪かったりするの?
どうしようと不安になったのもつかの間、
「あー……大丈夫です」
「本当に? 部活は」
「大したことなかったんで、大丈夫ですよ」
先生の言葉を突っぱねるように返した望くん。
その様子は、ここで話して欲しくないと言っているみたい。
あたしに聞かれちゃ嫌なのかな……。
嫌われたって分かっているけど、こうして目の当たりにすると……つらい。
優しくされたぶんだけ現実がつらくて、あたしはきゅっとスカートの裾を掴んだ。



