『好き』より先に、キミの『彼女』になりました。


クラスメートが目の前で、ノートをばらまいちゃったんだもん。
手伝ってくれるのに、深い意味なんてないと思う。


だけど、胸の奥がきゅーって狭くなって、熱くなって、苦しい。


早く集めて教室に戻りたい。
ううん、このままずっと望くんのそばにいたい。


自分でも自分の感情が、よく分からなくなって……。


「あれ? 結城と姫乃ちゃん……?」


自分の手が思うように動いてくれなくなったその時、「どうしたの?」と声をかけてきたのは、中村くん。


「あ……」

「ちょうど良かった。中村、これ教室に持っていっといて」

「へ?」


あたしが返事するより先に、拾い途中だったノートをするりと奪い取って、望くんは自分が拾っていたそれと合わせ、中村くんの腕に乗せた。

半ば強引に渡された中村くんは、


「持っていくのはいいけど、お前らどうすんの?」


と、少し不思議そうな顔をして聞いてきた。

それはあたしも気になる……なんて、思う余裕もなく、


「保健室、連れてってくる」


望くんは中村くんの方を向いたまま、あたしの手をぎゅっと握って、そう告げた。