痛みの代わりにあたしが背中に感じたのは……ぬくもり。
「……っ!?」
ボーっとする頭で振り返ってみて、あたしは飛び上がってしまいそうになるくらいびっくりした。
あたしのお腹に腕を回して、あたしがお尻から踏んづけてしまっていた人。
感じたぬくもりの正体は……望くん。
「ご、ごめっ……!」
すぐそこに顔があって、ドキッとしたのと同時に思い出したのは、昨日突き放されてしまったこと。
慌ててあたしが離れると、
「……大丈夫?」
望くんは真剣な顔をして聞いてきた。
本当は大丈夫じゃない……色んな意味で。だけど、
「だ、大丈夫! ちょっと焦ってつまずいちゃって……」
泣きそうになるのを必死にこらえて、「バカだよね」と、笑いながら返事をする。
これで合っているのか分からない。
ただもうこれ以上嫌われてしまうのが怖い。
「急がないと、授業始まっちゃうよね」
「……」
望くんの顔を見れないまま、あたしは落としてしまったノートを拾い集める。
すると視界の中に、あたしの手とは違う、大きな手が映り込んできた。



