本当にバカだなぁ……あたし。

こんな状態で好きだと伝えようとしていたなんて、無謀すぎる。


好き……。

自分の中にハッキリ芽生えた気持ち。
その名前を心の中で思ったそれだけで、胸が苦しくなって目を閉じた。


勉強をしたくない、授業がだるいと思ったことは今までに何度もある。

だけど、幸いなことに学校を休みたいと思ったことは一度もなかった……今日までは。


「行ってきます」と家を出て、いつになく重い足取りで学校へと向かう。

昨日の夜はとてもご飯を食べられる状態じゃなくて、今朝も食欲がなかった。

「大丈夫?」とお母さんに心配されたくらいだから、学校を休むことはきっと容易に出来たと思う。でも……。



「あ、来たんだ」


下駄箱の前で、ばったり出会したのは茜ちゃん。『おはよう』よりも先に向けられた言葉に、あたしは力なく笑う。


「休みたかったけど、1日休んだところでしょうがないなって思って」


失恋は時間が解決してくれるとは言うけど、それは1日2日のことじゃない。

その間ずっと休むことなんて、常識的に考えて出来るはずがない。