「茜ー!!」
廊下の先から大きくぶんぶんと手を振って、ひとりの女子が駆け寄ってきた。
「この前、中学のクラス会やろうって言ってたじゃん? そのことでちょっと相談なんだけど……うちのクラス来れる?」
「ああ、うん」
こくんと頷いた茜ちゃんは、「ごめん、ちょっと行ってくるね」と、あたしに告げると、その女の子と一緒に歩いて行ってしまった。
「……」
ポツンと残されてしまったあたし。
結城くんの気持ちは昨日ちゃんと確認した……けれど、あんな言い方をされたら、また少し気になってきちゃう。
あたしは何だかモヤモヤしてきて、とりあえず教室へと向かって、自分の席にカバンを降ろした。
そして、隣の席を見てみるけれど、荷物は何ひとつなく、結城くんはまだ来ていないみたい。
サッカー部って言ってたから、朝練かな。
茜ちゃんまだ戻って来ないし、グラウンドに行ってみようかな……。
……うん、行ってみよう。
そう決めたあたしは、椅子に腰掛けることもなく教室を後にした。



