隼人先輩の返答に、「えー、でも……」と2年生の先輩達は、面白くなさそうな声を上げる。
私情を部活には持ち込まないという約束でありながら、少し前まで隼人先輩はあたしにちょっかいを出していたわけで、その反応は分からなくもない。
だけど、隼人先輩はパンパンと手を叩いて。
「はいはい、ムダ話はここまで。ミーティングの前にグランド5周ー」
すっかり部長モードで指示を出す隼人先輩を目の前に、「ちぇー」なんて言いながら、先輩達は諦めて走り出した。
中村くんも、小さくお礼を言おうとしたあたしにニコッと軽く笑って、背を向けた。そして、
「ひめちゃん、ごめん。大丈夫だった?」
静かにそう声をかけてくれたのは、隼人先輩。
「はい、ちょっとからかわれただけで……大丈夫です」
昨日のこと、まさか誰かに見られてるなんて思わなかった。
思い返せば堂々と窓を開けて話していたんだから、充分リスクはあったんたけど……。
あたしは先輩に心配かけまいと、笑顔を浮かべて返事する。
だけど、本当は……。
グランドを走る望くんの姿に、俯いた。



