隼人先輩に告白したあたしは、本当の恋をまだ知らなかった。
目が合って、微笑まれるだけでドキッとして。
些細なことが、たまらなく嬉しくて。
少しでも力になりたい、頑張りたいと思って。
気持ちのすれ違いが、悲しくて。
嫌われてしまうのが、怖くて。
こんな気持ち、何も知らなかったのに……あたしは勘違いして、隼人先輩に好きだと言ってしまった。
でも、今ならハッキリと分かる。
あたしが先輩に抱いていた気持ちは──……。
「隼人先輩は、憧れでしたっ……」
年上で、余裕があって大人にみえて、カッコよくて優しくて。
隼人先輩は……ずっとあたしの憧れだった。
「うん、そう言ってもらえて嬉しいよ」
そっと降ってきた手のひらは、ポンポンとあたしの頭を優しく撫でる。
「だからもう、泣かないで」
「っ、ごめんなさい……」
隼人先輩の優しさに、あたしは両手で顔を覆う。
少し前のあたしなら、きっとこんなに泣いたりしなかった。
だけど今、自分が泣くような立場じゃないって分かっているのに、涙が溢れて止まらないのは、
隼人先輩を傷付けたって分かるから……。
『好き』を勘違いしちゃダメだって、痛いくらいに分かるから──……。



