『好き』より先に、キミの『彼女』になりました。


「茜ちゃん……人のこと、どれだけ勉強しない人間だと思ってんの」


これでも数ヶ月前、同じ試験を受けて入学してきたのに。

ジト目で茜ちゃんを見ると、「ごめんごめん」と笑いながら、茜ちゃんは手を離した。


まあ……確かに勉強は好きじゃない。

茜ちゃんの言う通り、中間の結果とか結構悲惨だったし。


でも今回は、気を紛らわすために勉強した。
何か考えてないと、勉強でもしていないと、彼のことばかり……浮かんできて。

望くんのことばかり……。


「ね、テストも終わったし遊びに行かない?」


きゅっと口を一文字に結んで、感情を堪えるあたしに気付いたのか、茜ちゃんは話を逸らすように笑って言った。

あたしはふたつ返事で頷こうとしたけれど、


「姫乃さーん! 呼ばれてるよー!」


クラスの女子に名前を呼ばれて、その方を見る。

すると、教室後方の戸口の前には……隼人先輩がいた。


あたしと目が合うなり、ニコッと微笑む先輩の相変わらずな態度に、ドキッとして、チクっと胸が痛む。

あたしはペコッと小さく先輩に向かって頭を下げると、


「茜ちゃんごめん。今日は先に帰ってて」


席を立ちながら、小声で茜ちゃんに謝った。