あの時、やっぱりキスしておけば良かった……なんて。


出来ることなら、昨日に戻りたい。

ううん、あたしに時を戻すことが出来るなら、もっともっと前に。


望くんを不安にさせる前に、戻りたい。


あたしが本当に好きなのは誰なのか、やっと気付いた。

初めてお付き合いをしたのも、手を繋いだのも、抱きしめられたのも、望くんで。


その先もずっとずっと、望くんとが良かった。


「ふっ、えっ……」


しゃがみこんだアスファルトに、ポタポタと涙が落ちる。


隼人先輩にフラれた時は、涙なんて出てこなかったのに。

望くんにフラれてしまった今は……悲しくて、苦しくて、涙が止まらない。


会いたい。
もう一度、抱きしめて欲しい。

そしたらちゃんと伝えるから。


あたしは望くんのことが好きだって──……。