『好き』より先に、キミの『彼女』になりました。


「……」


茜ちゃんの話に、あたしはぎゅっとスカートの裾を握る。


「ごめんね、菜子と私は違うのに」

「……ううん」


謝ってくれる茜ちゃんに、ゆっくりと首を横に振った。

あたしと茜ちゃん……本当に違うの?


話を聞きながら思い出したのは、昨日キスする寸前で離れた望くんと、今日隼人先輩に呼ばれた時に、腕を掴んで引き止めた望くん。


本当は気付いてた。

望くんが少し悲しそうな顔をしていたことに。


「茜ちゃんの言ったことは間違ってないよ……」


たぶん、きっと、あたしは既に望くんを傷付けてしまっている。

あたしがハッキリしないから、だから……。


「隼人先輩にね、本気で好きだって言われたんだ。なのに、まだちゃんと断れてなくて……」


中途半端な自分が、心底嫌になる。
茜ちゃんがイラッとするのも分かる。

でも……。


「好きって何なのか、だんだん分からなくなって……」


隼人先輩のこと、好きだと思っていた。
だけど思いは叶わず、あたしを好きだと言ってくれた望くんと付き合うことした。

それで終わり、だと思っていたのに……。