……ど、どうしよう。
女子更衣室で制服へと着替えながら、ブラウスのボタンをとめる手がプルプルと震える。
「一緒に帰れる?」と望くんに聞かれて、勢いのまま「うん!」と頷いた。
頷いた……けど、どんな顔をして何から話せばいいんだろう。
望くんの方から話しかけてくれたことですら驚いたのに、一緒に帰るなんて想定外。
望くんはいつもの様子に見えたけど、何もないわけがない。
たぶん、きっと……帰りながらゆっくり話をしようってことなんだと思う。
首元のボタンひとつを残して、あとは全部とめたあたしはリボンを付ける。
さっき話そうとしてたくせに、今更なにビビってんの。
肩にカバンを下げて一度大きく息を吐くと、重い足を動かし、恐る恐る更衣室のドアノブを捻った。
すると、少し離れた場所に望くんは立って、スマホを見ていた。
「……」
いつもと何も変わらない光景。
部活が、自主練が終わった後、望くんはあたしが着替え終わるのを、いつもここでこうして待ってくれていた。



