洗浄していたスクイズボトルを軽く拭き、部室に持って行けば、今日の仕事は終わり。
「よいっしょ……」
やっと帰れると思いながら、コンテナにまとめたそれを持ち上げて立ち上がると、
「それ、俺が片付けとくよ」
「えっ」
ひょいっと横からコンテナを奪って、声をかけてきた人の顔を思わず二度見した。
だってそれは……望くんだったから。
まさかこんな風に話しかけられるなんて思いもしなくて、ポカンと口を開ける……けど。
「だ、大丈夫だよ、自分で持ってくよ!?」
「いいって。足治ったばっかなんだし」
「任せて」と言われて、あたしは伸ばしかけた手を止める。
「あ、ありがと……」
「いや、どうせ今から部室行くから」
何でもないように望くんは答えるけど、昼間のこと、どう思っているんだろう。
あんな風に鉢合わせしておいて、何とも思ってないはずがない。
「あの……」
部活はもう終わった。だから、話してもいい……話すべきだよね……。
俯いたあたしは意を決して声に出そうとするけど、
「菜子、今日一緒に帰れる?」
望くんは軽く微笑んで、そう告げた。



